パーキンソン病の症状はなぜ起きるのか?〜神経メカニズムの解明〜

この投稿は、神経疾患特化型自費リハビリ施設『脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が、麻痺の後遺症でお悩みを持つ全ての方、そしてリハビリテーションに携わる医療従事者の皆様に向けて執筆しています。

今回お伝えするテーマは、『パーキンソン病の神経メカニズム』です。

パーキンソン病の病態で最も関係の深い脳領域。

それは、『中脳』と『大脳基底核』という脳領域が挙げられますが、実際にこの領域でどのようなことが生じた結果パーキンソン症状が出現するのか?

これに関しては、今日までややブラックボックスになっていた部分がありました。

しかし、昨年2021年7月16日に生理学研究所がパーキンソン病の神経メカニズムについて解明した研究結果をプレスリリースしました。

現在、パーキンソン病患者様のリハビリテーションに従事するセラピストの皆さんにとって非常に参考になる知見が発表されていますので、ぜひお時間ある際に一度ご覧になってみてください。

内容  パーキンソン病は手足の動かしにくさ(無動)、震え、こわばりなどの症状を示す進行性の…

ただし、パーキンソン病の病態がそもそもよく理解できていないと感じている方にとってはやや難解な部分もあるかと思いますので、今回は…

このプレスリリースを読む前に前段として『ここは抑えておきたいパーキンソン病に関する知識』を簡単におさらいしていきたいと思います。

パーキンソン病の症状はなぜ起きるのか?〜神経メカニズムの解明〜

パーキンソン病の原因と症状の神経メカニズムは別である

パーキンソン病について考えていく上で大切なこと。

それは【原因】と【症状のメカニズム】この2つは分けて考えるということです。(もちろん繋がってはいます)

というのも、「パーキンソン病の症状のメカニズムが解明された!」というと…

ん?中脳の黒質緻密部が変性してドパミンが出なくなったからでしょ?

というような解釈をしてしまいがちなんですが、この『中脳黒質からドパミンが出なくなった』というのは【原因】であって【症状のメカニズム】を表しているわけではありません。

※以下、補足も兼ねてパーキンソン病の【原因】をすごくざっくりと説明しておきます。

①脳の中で神経伝達物質のドパミンが不足することで、運動指令がうまく伝わらなくなっている。

②ドパミンは脳の中脳の黒質(緻密部)という部分の神経細胞で作られるが、パーキンソン病の患者さんの脳では、黒質の細胞が減りドパミンの作られる量が少なくなっている

繰り返しですが、パーキンソン病を考える際に「黒質の変性が起こって、運動が上手くいかない」のはパーキンソン病が発生する【原因】であって、無動や固縮といった症状の神経メカニズムの解説をしているわけではないです。(ややこしいですが)

パーキンソン病の原因を深掘るなら、「中脳黒質の変性、なぜ黒質が変性するかはまだ明らかになっていない。以上」ですが、「症状のメカニズムを解明する」となるとちょっと話しが変わります。

なぜなら、この話しをするとなると大脳基底核における『直接路』や『間接路』、『ハイパー直接路』といった、神経生理学的な話しが絡んでくるからです。

そして今回、生理学研究所が発表したプレスリリースはこの【症状】に関する神経メカニズムを研究&解明しています。

よって、「パーキンソン病の原因はこれでした!」というのを解明したわけではなく、「大脳基底核内部で何が起こっているか?」ということに関して、一つ明らかになった部分を発表しているのです。

ここは意外と混在しやすいところなので復習も兼ねて改めてお伝えしました。

パーキンソン病におけるこれまでの定説

最後に、プレスリリースを読むにあたってまずはこれまでパーキンソン病において考えられてきた定説について振り返ります。

これまで、パーキンソン病(症状)の主病態として考えられてきたのは…

ドパミンの欠乏によって、『直接路の活動低下』『間接路の活動亢進』が生じた結果発生すると考えられてきました。

特に、無動や筋強剛の病態は『間接路の亢進』によって引き起こされることが定説とされていましたが、この研究では、その病態が主に「直接路にあるのではないか?」ということが新たに示されました。

この辺りは、実際にご覧になって確認されてみてください。

ただ、この時点で「直接路/間接路って何…?」と疑問に感じた方は、まずはそこの復習から行っていきましょう。

まとめ

生理学研究所がパーキンソン病の症状に関する神経メカニズムを一つ解明した

解明したのはパーキンソン病の『原因』ではなく『症状のメカニズム』である

パーキンソン病の代表的な症状である無動や固縮の原因が『間接路』ではなく『直接路』にある可能性が出てきた

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