この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が、現在様々な神経疾患により麻痺を患い、本気で改善したいと思っている皆様へ、今後のリハビリのヒントとなる情報をお伝えします。
本日は、「脳卒中を患ったあと、果たして1人で歩けるようになるのか?」という疑問についてお答えしていきます。
この点に関しては、おそらく多くの脳卒中患者様が抱かれている疑問の一つではないかと思いますので、できる限りわかりやすく、そして根拠のない想像だけで回答しないよう丁寧に解説していきたいと思います。
それでは、始めます。
「脳卒中後は歩けるようになるのか?」という疑問に答えます
【結論】脳卒中後は約90%の確率で歩けるようになる
まず、結論からお伝えすると…
Lee(2017)らが実施した研究によれば、脳卒中発症から6ヶ月以内に86.7%の人が1人で歩けるようになった事が分かりました。(対象となった脳卒中患者様は全員で30名)
・女性13名、男性17名
・左片麻痺15人、右片麻痺15人
・発症時は全員歩けない状態からスタート
つまり、この研究の結果だけで解釈すると「脳卒中後はほとんどの確率で歩けるようになる」ということが言えるかと思います。
ただし、先ほども申し上げたように『病巣の大きさ』や『病巣の部位』によって症状の程度は変わるという点に関してはご理解頂けたらと思います。
どのくらいから1人で歩けるようになるのか(目安)
この研究では『脳卒中発症時』、『脳卒中後1ヶ月』、『脳卒中後3ヶ月』、『脳卒中後6ヶ月』の期間で歩行状態を評価しています。
その結果を以下に示します。
・脳卒中後1ヶ月:33.4%
・脳卒中後3ヶ月:70%
・脳卒中後6ヶ月:86.7%
この結果を見ると、脳卒中発症3ヶ月後以降から急激に歩けるようになる人が増えていることがわかります。
逆に脳卒中を発症時は30人中ひとりも歩けていない状態であることから、発症時に歩けなかったとしても将来的(6ヶ月後)には1人で歩けるようになっているかもしれません。
どのくらいリハビリを行った結果なのか?
最後に、「実際、日々どのくらいリハビリを行ったら6ヶ月後に歩けるようになったのか?」この点について触れておきたいと思います。
ある種ここが一番大切で…というのは脳卒中発症後何もしなければ到底歩けるようにはならないからです。
やはり、日々のリハビリがあってこそ歩けるようになるというのは前提となるため、このリハビリの頻度や量についてはしっかり抑えて頂きたいと思います。
結論、この研究では…
理学療法と作業療法、そして言語療法をそれぞれ1日1~2時間、週5日のリハビリテーションを実施しています。
1日1〜2時間のリハビリテーションを週5日なので、ほぼ毎日といってもいいかと思います。
と、思われた方はご安心ください。
脳卒中発症後、多くの場合は『回復期病院』という医療機関に入院することになりますが、そこでは毎日リハビリが行われています。
そのため、ここで示されているリハビリの量というのは十分確保することが可能です。
まとめ
それでは、本日のコラムのまとめに入ります。
脳卒中発症時は歩けなくても、3ヶ月〜6ヶ月の間にほとんどの確率で歩けるようになる。
ただ、そのためにはしっかりリハビリを行っていく必要がある。
リハビリの頻度と量は最低でも、1日1〜2時間を週5日実施するのが好ましい。
参考文献
・Brain lesions affecting gait recovery in stroke patients.Lee,2017