この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が、現在様々な神経疾患(脳梗塞・脳出血・脊髄損傷など)により麻痺を患い、本気で改善したいと思っている皆様へ今後のリハビリのヒントとなる情報をお伝えします。
今回は、「脳卒中後足首が上手く動かせない方に対するリハビリテーション」というテーマでお話ししていきたいと思います。
脳卒中後には、多くの方が身体の半分に麻痺を患ってしまうことが多いですが、その中でも回復に最も時間を要するのが足首と手首(手指)です。
当センターでも脳卒中後遺症のお客様が日々リハビリを行っていますが、その中でもやはり足首や手指が思うように動かせないという方が一番多いです。
そこで、今回も過去に実際に行われた研究をもとに、脳卒中後における足首のリハビリテーションの進め方についてお伝えしていきたいと思います。
【脳卒中リハビリ】脳卒中後足首が上手く動かせない方に対するリハビリテーション
論文紹介
はじめに、今回足首のリハビリテーションを解説するにあたって、参考させて頂いた論文がこちらです。
この研究の目的は…
慢性脳卒中患者様の足関節背屈筋または足底屈筋に『神経-筋電気刺激療法:NMES』を適用することにより、足首の動きと歩行能力にどのような影響があるかを調べることでした。
対象となった脳卒中患者様の特徴
今回の研究で対象となった患者様の特徴は以下です。
②歩行時の足首の制御が不十分であること(踵接地時の足関節背屈角度が-5°未満、つま先離地時の足関節底屈角度が10°未満と定義)
③足関節背屈の受動的可動域(PROM)が中立位(0°と定義)であること→痙縮が強すぎないこと
④歩行補助具の有無にかかわらず10m以上歩行できること
⑤麻痺側の前脛骨筋(TA)および内側腓腹筋(MG)から表面筋電信号が検出可能であること
逆に以下の基準に当てはまる方は、研究から除外されています。
=今回ご紹介する方法が当てはまらない可能性があります。
②コミュニケーションに必要な認知力が不十分であること(Mini-Mental State Examination < 24)
③ペースメーカーや腫瘍などがありNMESの禁忌にあたる
④歩行能力に影響を及ぼす整形外科的疾患や他の神経学的疾患の既往があること
⑤下垂足を矯正するための外科的手術を実施していること
研究のやり方
上記の基準に当てはまる脳卒中後遺症患者様計25名がこの研究に参加しました。
そして、以下のように振り分けられています。
Aグループ:前脛骨筋にNMESを行う患者8名
Bグループ:内側腓腹筋にNMESを行う患者9名
Cグループ:NMESを行わない患者8名
A&Bグループはそれぞれの筋肉に対して、20分間のNMESを行いその後15分間歩行練習を行いました、
Cグループは、NMESを行わず20分間関節可動域トレーニングとストレッチを受けた後、15分間の歩行練習を実施しました。
トレーニングはすべて週3回行い、それを計7週間にわたり実施しています。
検査者は同じ理学療法士によって実施されました。トレーニング前後の評価は、21回(週3回×7)のトレーニングセッションの前後7日以内に行われています。
研究の結果
各グループ、7週間のトレーニングを実施したところ、最終的に以下のような結果が出ました。
①歩行速度と歩幅について
トレーニング7週間後、3グループとも歩幅の増加に伴い歩行速度は増加した。
歩幅について、Aグループは麻痺側の歩幅が有意な増加を示し、Bグループは麻痺側に加えて非麻痺側の歩幅も有意な増加を示した。
NMESを行っていないCグループは多少歩幅の増加は見られたものの、A&Bグループほどの結果は得られなかった。
②足首の痙縮について
足関節底屈筋の筋緊張及び痙縮は、トレーニング後3グループ全てに改善が見られたが、その中でもAグループでのみ有意な改善が認められた。
③足首の筋力について
足首の筋力については、Aグループのみが有意に強くなっています。
なお、追記でいうとこのNMESを行うことによって、『歩行中の非対称性』改善されていたというのもあり、特にBグループの方でそれは顕著となっていたようです。
つまり、歩行時に左右非対称な歩きになっている方は、内側腓腹筋に対してNMESを行いながら歩く練習をすることで改善が測れるかもしれません。
足首のリハビリテーションまとめ
というわけで、以上が脳卒中後足首の運動に対するリハビリテーション方法の提案でした。
もちろん、全ての方にこの方法がはまるわけではありませんが、試してみていただいて自分自身に合うor合わない、セラピストの方であれば「この患者様には適応できるorできない」を判断頂けたらと思います。
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