【脳卒中リハビリ】足の裏が変わるだけで歩行が良くなる!?

この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が日々脳卒中(脳梗塞・脳出血)や脊髄損傷、脳性麻痺といった神経疾患後遺症のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、当事者の皆様に向けて発信するエビデンス情報です。

今回のテーマは「歩行改善のカギは”足の裏”にある?」です。

患者様
歩いていると、なんだか足が出しづらい
患者様
狭い歩幅でしか歩けない

脳卒中を経験された方の中には 「足の運びのぎこちなさ」 に悩まれている方も多くいらっしゃいます。

従来は、体幹や股関節・膝関節の筋力や可動域に焦点が当てられることが多かったのですが、最新の研究では、“足の裏の筋肉(足内在筋)”に動きを出すことで歩行やバランスに変化が起きることが示唆されました。

今回は2025年に発表された研究をもとに、足の裏の筋肉の重要性と効果について紹介します。

【脳卒中リハビリ】足の裏が変わるだけで歩行が良くなる!?

参考文献

今回の論文は2025年に発表された論文です。

Effects of foot intrinsic muscle dynamic stretching on balance, gait parameters, and dynamic gait index in patients with chronic stroke: A randomized controlled study (CONSORT).Younghwan Kwag et al.2025

研究の目的

この研究では慢性期脳卒中の方に対する足内在筋ダイナミックスストレッチ(FIMS)が以下に与える影響を検証しました。

  • 静的バランス(K-FORCE:立った状態での重心のブレや安定性を測定)
  • 動的バランス(Timed Up and Go:椅子から立ち上がり3m先のコーンを回り戻ってくるまでの時間を測定)
  • 歩行パラメータ(速度・歩幅・ストライド長(同じ足が地面に着くまでの1サイクルの長さ)・ケイデンス(1分間あたりの歩数))
  • 動的歩行能力(Dynamic Gait Index(DGI):方向転換や障害物の回避など実生活に近い8つの課題を歩く)

また、従来のランジエクササイズとの比較により、足内在筋ダイナミックストレッチ(FIMS)の臨床的有効性が検証されました。

ランジエクサイズ
前方に足を1歩踏み出して腰を落とす運動(特に太もも前面(大腿四頭筋)やお尻(大殿筋)を鍛える)

足内在筋ダイナミックスストレッチ(FIMS)の具体的な方法はコラム後半で解説しています!

研究の概要

対象者

  • 慢性期脳卒中の患者20名

方法

対象者を以下の2群に無作為に分け、介入を実施しました。

  1. FIMS群(足内在筋ダイナミックスストレッチ+ランジエクササイズ)
  2. ランジエクササイズ群(ランジエクササイズのみ)

頻度

  • 週5日、1日3セット(各10回)、4週間

評価項目

  • 静的バランス(K-FORCE)
  • 動的バランス(Timed Up and Go)
  • 歩行パラメータ(GAITRite:速度、歩幅、ストライド長、ケイデンス)
  • 動的歩行能力(Dynamic Gait Index:DGI)

研究の結果

この研究より以下のことが示唆されました。

FIMS群の介入前後での主な改善

静的バランス(K-FORCE)

  • 重心動揺の低下(特に麻痺側荷重時の安定性が改善)

動的バランス(TUG)

  • 12.5秒 → 9.6秒(−2.9秒 短縮)

歩行パラメータ

  •  歩行速度:78.8m/分→ 112.3m/分(+33.5m/分)
  • 歩幅:51.3cm → 58.2cm(+6.9cm)
  • ストライド長:99.1cm → 109.1cm(+10.0cm)
  • ケイデンス:96.3歩/分 → 116.9歩/分(+20.6歩/分

動的歩行能力(DGI)

  • 17.7点 → 25.3点(+7.6点 向上)

FIMS群とランジ群の介入後の比較

静的バランス(K-FORCE)

  • FIMS群では改善が見られたが、ランジエクササイズ群との有意差はなし

動的バランス(TUG)

  • FIMS群の方がランジエクササイズ群より 約5.0秒 速い

歩行パラメータ

  • 歩行速度:FIMS群の方がランジエクササイズ群より +25.0m/分速い
  • 歩幅:FIMS群の方がランジエクササイズ群より +15.1cm 広い
  • ストライド長FIMS群の方がランジエクササイズ群より +23.3cm 長い
  • ケイデンス:FIMS群では改善が見られたが、ランジエクササイズ群との有意差はなし

動的歩行能力(DGI)

  • FIMS群の方がランジエクササイズ群より +6.4点 高い

リハビリへの応用

この研究から得られた知見を活かし、リハビリでは次のような具体的な方法を取り入れることが有効だと考えられます。

足内在筋ダイナミックスストレッチ(FIMS)

方法

  • 足の母趾を固く丸めたタオルや段差、器具(Faciitis Fighter)に乗せ、膝を軽く曲げて体重を前に移動

回数

  • 片脚10回 × 3セット

ポイント

    • 母趾のつけ根からしっかり反らせる
原著論文より引用
原著論文より引用

 

FIMSを活かした実践的な練習例

バランスを向上させたい場合

  • FIMS後、タオル等を外してその場で足踏み

足の引っかかり(トゥドラッグ)がある場合

  • FIMS後、座位でつま先上げ

狭い歩幅でしか歩けない場合

  • FIMS後、安全な床上でステップ練習

座って行う場合

  • 椅子に座ってFIMS(母趾だけ段差に乗せて体重を前に掛ける)

 

なぜFIMSのあとに動作練習を入れると良いのか?
  • FIMSは、足の感覚・柔軟性・安定性を整える準備運動です。その直後に動作練習や歩行練習を組み合わせることで、神経系の学習効率が高まり、「感じる → 動かす → 習得する」プロセスを後押しできると考えられるのです。

おわりに

足内在筋ダイナミックスストレッチ(FIMS)は、従来の下肢トレーニングに比べて

  1. 静的・動的バランスの改善
  2. 歩行速度や歩幅の拡大
  3. スムーズな足の運びの習得

などの改善の可能性が示唆されました。FIMSは特別な器具がなくてもタオルで代用でき、ご自宅でも取り入れやすいアプローチです。

歩行の「あと一歩」が出にくいと感じたら、まずは足の裏から整えてみませんか?

この情報が、日々のリハビリや歩行改善のヒントになれば幸いです。

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