【脳性麻痺のリハビリ】足首が固くならないようにするためには最低◯日に一回はリハビリが必要

この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が日々脳卒中(脳梗塞・脳出血)のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、当事者の皆様に向けて発信するエビデンス情報です。

本日は、『脳性麻痺のリハビリ』というのを一つテーマにしながらコラムを書いていきたいと思います。

現在、脳と脊髄リハビリ研究センター福岡には、脳卒中や脊髄損傷後に麻痺の後遺症が残存してしまった方はもちろん、脳性麻痺を患った方(成人から小児まで)も利用されています。

そんな中、よくご質問としていただくのが…

子供が脳性麻痺を患っていて足首が下を向いて固くなりやすいんですが…リハビリはどのくらいの頻度で行えば良いんでしょうか?

といったものです。

脳性麻痺は、痙縮の影響で『下垂足』を患うことが多くその結果としてバランス能力や歩行のしにくさにつながりやすいです。 そこで今回は、海外で行われた研究をもとに…

「足首が固くならないようにするためにリハビリってどのくらいの頻度で行ったら良いんだろう?」

そんな疑問にお答えします!

【脳性麻痺のリハビリ】足首が固くならないようにするためには最低◯日に一回はリハビリが必要

はじめに

今回解説していくにあたって参考にさせて頂いた論文はこちらです。

The Role of Regular Physical Therapy on Spasticity in Children With Cerebral Palsy.Lee H,2019

この論文は、脳性麻痺を患っている35名のお子様(平均年齢5.6歳)を対象に行った研究です。

内容としては、脳性麻痺によって生じた痙縮に対して理学療法介入にどれほどの効果があるかを調べているものとなっています。

研究方法

研究の方法は、『10日間』理学療法を中断しそれによって、特に足首を上に挙げる運動(背屈)がどのくらい影響されるかを調べています。

ちなみに、足首の背屈角度は2パターン調べられていて、一つ「膝を曲げた状態」、もう一つは「膝を伸ばした状態」です。

結果

10日間理学療法を中断した際に生じた足首の変化を以下にまとめました。

  • 膝屈曲時の足関節背屈角度: -5.353° (F=12.84, p=0.0004)
  • 膝伸展時の足関節背屈角度: -3.3316° (F=18.9465, p<0.0001)

膝を曲げた状態では約5度、膝を伸ばした状態では約3度足首の背屈角度が減少したことがこの研究から明らかになりました。

臨床への示唆〜リハビリは最低でも2週間に一度〜

今回の結果から脳性麻痺を患うお子様において、10日間理学療法、ないしはリハビリテーションを中断すると足首が約3〜5度減少してしまうことが明らかになりました。

つまり、冒頭の問いにありました…

子供が脳性麻痺を患っていて足首が下を向いて固くなりやすいんですが…リハビリはどのくらいの頻度で行えば良いんでしょうか?

に対する答えとしては「最低でも2週間に一度は必要かもしれない」になるかと思います。

ただし、この研究では10日後に足首の状態をチェックしていますが、もしかすると足首の硬さ自体はそれ以前(初日〜9日間)にも始まっている可能性も考えられます。

そのため、もし可能であれば「1週間に1回以上」リハビリを実施することが理想的ではないかと思われます。

さて、以上が今回お伝えしたかった内容になります。

この記事が、理学療法士や作業療法士、当事者の皆様の明日のリハビリのヒントなれば幸いです。

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参考文献

The Role of Regular Physical Therapy on Spasticity in Children With Cerebral Palsy.Lee H,2019

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