この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が、現在様々な神経疾患により麻痺を患い、本気で改善したいと思っている皆様へ、今後のリハビリのヒントとなる情報をお伝えします。
脳卒中に対する電気刺激療法の効果
現在、本邦で行われている脳卒中後のリハビリには非常に多くのリハビリ方法が存在しています。
故に、どのようなリハビリ方法が提供されるかは各施設、各療法士によって大きく変わります。
今回は、このように多岐にわたるリハビリ方法の中の一つである『電気刺激療法』にフォーカスを当て、この方法の効果を海外の知見を中心に解説していきます。
この投稿が、脳卒中や脊髄損傷をはじめとする神経疾患を患い今まさにリハビリに励まれている皆様、そして療法士の皆様に対して少しでも今後のリハビリのヒントになれば幸いです。
①腕の運動機能に対する電気刺激療法の効果
発症直後(急性期)〜慢性期(6ヶ月以降)の脳卒中患者様を対象に電気刺激を行うと、麻痺側の腕の運動機能が向上するということがわかりまりた。(Yang.2019)
また、従来電気刺激療法は急性期に有効だと考えられてきましたが、実はその効果は慢性期(発症から6ヶ月以降)にも有効であることがわかっています。
また、電気刺激を活用する際に一緒に行うとより有効であると考えらているのが、電気刺激を行いながら実際に運動を繰り返すことです。(Gabyzon.2011)
つまり、電気を当てっぱなしで筋肉を使わせるのではなく、麻痺によって使いにくくなっている筋肉を電気刺激でアシストを行いながら実際に運動を行う。これにより、脳からの運動指令と末梢神経、筋肉が再び繋がり運動が行いやすくなります。
②足に対する電気刺激療法の効果
今度は、足に対する電気刺激療法の効果ですが、慢性期脳卒中後遺症患者様の足に電気刺激を行うと、大きく以下のことに改善効果があるとされています。
◯歩行速度
◯立位バランス能力
◯痙縮(筋肉の強張り)
(Hong.2018)
一方で、効果ががあまり見られないものですが、それは「歩行持久力(長距離を歩く力)」だとされています。(Hong.2018)
脳卒中後の後遺症に対する電気刺激は有効である
以上の結果をまとめると…脳卒中後後遺症に対する電気刺激療法は上記のようにその効果が確認されており有効な介入方法であると考えられます。
ただ繰り返しですが、電気刺激を行う際は単純に電気を当てるのではなく、同時にしっかりと動かすこと。
電気+運動(課題指向型訓練と言います)の組み合わせが非常に重要であるため、この2つを併用するとさらに良い効果が得られるのではないかと思います。
最後に〜当センターのリハビリ〜
脳と脊髄リハビリ研究センター福岡では、今回紹介した電気刺激療法をはじめ、麻痺の改善に効果があるとされるリハビリ方法を積極的に取り入れ実施しています。
現在は、発症から数年経過した慢性期であっても麻痺の改善が図れている事例や研究が多数発見されています。
1人でも多く麻痺でお悩みを持つ方の手助けができるように。
私たちは日々世界中の知見を集め、それら情報をもとにリハビリを展開しています。
参考文献
・Effectiveness of electrical stimulation therapy in improving arm function after stroke: a systematic review and a meta-analysis of randomised controlled trials. yang 2019
・Does sensory transcutaneous electrical stimulation enhance motor recovery following a stroke? A systematic review. Gabyzon 2011
・Effectiveness of electrical stimulation therapy in improving arm function after stroke: a systematic review and a meta-analysis of randomised controlled trials.Hong 2018