慢性期脳卒中患者様に推奨されている自主トレ

脳卒中発症から数年経過したのだけれど、まだ良くなっていくものなのだろうか…?

現在、発症から長い時間経過されている方の中にはこのようなお悩みを抱えている方も中にはいらっしゃるのではないでしょうか?

そういった皆様向けに、本日はいわゆる慢性期に実施すると効果的な自主トレをご紹介させていただきます。

なお、今回ご紹介する自主トレの目的は主に上肢(腕や手)の運動機能の向上を目的とした介入になります。

※本記事は情報の正確性を担保するため、以下の論文を参考に執筆させて頂いております。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23524843/

慢性期脳卒中患者様に推奨されている自主トレ

対象となった方の発症からの期間と年齢

この研究で対象となった脳卒中患者様は発症から平均して2年〜5年経過している方21名です。

年齢はというと、平均すると60歳ほどになります。

自主トレの方法

①感覚の訓練

はじめに行うのが、麻痺が生じている部位に対する感覚の再教育です。

対象者の方のご家族の方に、対象者の患部である手の一部を歯ブラシで擦ってもらいます。

対象者の方は目を閉じ、ご家族の方はランダムに麻痺している手を歯ブラシで擦っていきます。その時、対象者の方は手に意識を集中し刺激されている部位を当てなければなりません。

(アイマスクなどを着用するのもgoodです!)

答え方はどのような形でも構いませんが、やりやすいのは『麻痺が生じていない方の指で擦られた部位を指す』というのが良いかと思います。

ご家族の方は、擦り方を毎回強くしたり弱くしたりと刺激の強さを変えたり、または歯ブラシだけでなく『筆』など刺激の種類そのものを変えたりしても良いかと思います。

対象者の方は、今きた刺激が歯ブラシなのか、筆なのか、それ以外なのかなどなどそれらを答えていくことで失った感覚を再び取り戻していくことが可能となります。

実施する時間ですが、この研究では10分間行っております。

②運動のイメージ訓練

次に行うのが、運動のイメージ訓練です。

麻痺側の手で扉を開くイメージを行ったり、コップを手に取るイメージをしたりと、自分自身の麻痺側の手がまるで動いているかのようにイメージする訓練を行います。

この時ポイントとしては、難しい運動をイメージしなくても大丈夫だということです。

非麻痺側であれば簡単にできるような運動からで構わないので、まずは簡単な運動からイメージすることを始めてみましょう。

この運動イメージの訓練を10分間行います。

③イメージしたことを実際に行ってみる

最後は、実際にイメージした運動を行ってみます。

この時、失敗したり思った通りに動かなくても構いません。

そして筋肉を力一杯動かそうとしなくても大丈夫です。

大切なことは、少ない力でイメージした運動にわずかにでも近づいていくことです。

一回や二回では上手くいきません。沢山動かしていくことで脳は筋肉の使い方を学習していくため、諦めず繰り返し行ってみましょう。

これも行う時間は10分間です。

以上、計30分間の自主トレになります。ちなみにこの研究ではこの自主トレを8週間(2ヶ月間)実施しています。

最後に

今回は、慢性脳卒中患者様向けの自主トレ方法をご紹介しました。

今回の自主トレのポイントは「感覚の訓練とイメージ、そして実際の運動を組み合わせること」です。

実は、この「感覚」「イメージ」「運動」という3つの要素は運動機能の回復に強く寄与するものと言われています。(Nicola.2003)

一日30分間です。

もしよければ、この機会にぜひ取り入れてみてください。

参考文献

・A sensorimotor stimulation program for rehabilitation of chronic stroke patients. cristina 2013

・Rehabilitation of somatic sensation and related deficit of motor control in patients with pure sensory stroke. nicola 2003

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