【脳卒中リハビリ】速く歩くには○○の動きも大事!

この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が日々脳卒中(脳梗塞・脳出血)や脊髄損傷、脳性麻痺といった神経疾患後遺症のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、当事者の皆様に向けて発信するエビデンス情報です。

脳卒中を経験された多くの方が、以前に比べて歩行速度が遅くなったと感じているのではないでしょうか?その原因は運動麻痺や感覚障害など多くの要因が考えられますが、今回は足関節の動きが歩行速度にどう影響するのかについて、論文をもとに考えていきたいと思います。

【脳卒中リハビリ】歩行速度の向上には足関節の動きも大事!

はじめに

今回の論文は2022年に米国でおこなわれた研究です。

Neuromechanical control of impact absorption during induced lower limb loading in individualsost-stroke,Keng-hung shen,2022

対象者

脳卒中後15名(62.6±8.9歳、脳卒中後13.5±12.7年)と年齢が一致した健常者15名の計30名が参加

脳卒中後の対象者の選択基準

  1. 脳卒中発症後から6か月以上経過
  2. 10m歩行可能(補助具使用可)
  3. 支えなしで5分間立位保持可能

健常者の選択基準

  1. 神経学的損傷または筋骨格系等に自己申告の病歴がない

方法

足関節の動きが歩行速度に影響するのかを以下の方法で実施

  1. 静止立位の状態から片脚に急に体重が移る時の足関節の動きを評価

1)高さ37㎝の隣接するプラットフォーム上で実施
2)プラットフォームの一部が電磁石で固定され、予測不可能なタイミングで片側の表面は4.3㎝下方に落下
3)参加者は両足をプラットフォームに乗せ、自然に立つように指示され、落下により誘発される荷重に対応
4)落下が誘発された際、何も把持せずに立位を保たなければならない

 

図 1 参考文献より引用
*上記画像は参考文献より引用                  
  1. 通常の歩行速度と早歩きの時の速度を計測

7mのGAITRite歩道(センサーのついたマット上)を歩行

結果と結論

この研究では、脳卒中を経験された方は足関節の動きが遅く、無意識に力が入り過ぎることが明らかになりました。

これが、特に麻痺側への体重移動の困難さを引き起こし、歩行速度の低下に繋がっていると示唆されました。

リハビリへの転用

つまり、速く歩くためには、左右の下肢へ体重を移動する際、適度に力が抜けた状態で足関節がしっかり支えられることが重要です。

そのためのリハビリを紹介したいと思います。

  1. 足を肩幅に開いた静止立位となり、その姿勢から左右の下肢へ体重を移動する練習
  2. 徐々に足を前後(歩行時のステップ位)に開いた姿勢になり、左右下肢へと体重を移動する練習

いきなり、歩行の中で、左右の下肢への体重移動練習は難易度が高すぎますので、静止立位の状態から徐々にステップアップしていくと良いでしょう!

ポイント

  1. 前段階として、足関節のストレッチ等(足首回しなどで良い)で動きが出やすい状態にしておくこと
  2. 麻痺側下肢にどのくらい体重を乗せたら足関節にどんな反応が生じるのかを感じながら行うこと(ここ重要!!!)
  3. 麻痺側下肢に体重を乗せた時、足趾が屈曲(クロウトゥ)したり、内反しやすい方は、ゆっくりとした速度から行うこと

今回の方法は、地味で遠回りのようですが、まずは立位で体重に反応できる足を作ること、それが速く歩くための第一歩です!

立位で出来ないものは歩行中もできっこないのです!!!

地味な練習にこそ意味があります。是非、皆様も試してみてください♪

おわりに

今回の研究では、足関節の動きを改善することで歩行速度が向上する可能性が示されました。

ただし、これは脳卒中を経験された方と同年代の健常者の比較に基づく結果です。

つまり脳卒中を経験された方のリハビリ前後を比較したものではないため、運動麻痺や感覚障害の程度などほかの要因も影響している可能性があることを認識しておく必要があります。

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