【脳卒中リハビリ】立位バランス能力を向上させるためのリハビリテーション戦略

この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が、現在様々な神経疾患(脳梗塞・脳出血・脊髄損傷など)により麻痺を患い、本気で改善したいと思っている皆様へ今後のリハビリのヒントとなる情報をお伝えします。

今回は、バランス能力を向上させるためのリハビリテーション戦略について解説していきます。

脳卒中後、多くの方に残存するであろう課題。

その一つが『バランス能力』です。というのも、脳卒中後は後遺症である運動麻痺によって麻痺側の身体で思うように体重を支えることができなくなるからです。

そこで今回は脳卒中後後遺症患者様が自宅でも実施可能な、バランス能力の向上を目的としたリハビリ方法をご紹介していきます。

理学療法士や作業療法士の皆さんにお役立ちする内容となっています

ぜひ、最後までご覧いただき明日のリハビリに活かして頂けたら幸いです。

【脳卒中リハビリ】立位バランス能力を向上させるためのリハビリテーション戦略

はじめに、今回記事を執筆するにあたり参考にさせて頂いた論文はこちらです。

Influence of perceptual learning on standing posture balance: repeated training for hardness discrimination of foot sole.morioka,2004

ポイントは足の裏の感覚

脳卒中後然り、人が上手にバランスをとるために重要な要素。

沢山あるのですが、その一つとして重要になるのが、『足の裏の感覚』です。

ゴムマットを敷いた床の上に立っているときに足裏からの受動的な感覚入力が増加すると、立位バランス能力が安定する可能性があることが実証されている。したがって、足底の皮膚感覚入力が姿勢制御に及ぼす影響には特徴がある。(morioka,2004)

今回ご紹介する研究においても、「様々な性状のラバーマットを踏むことによってバランス能力にどれくらい効果があるのか?」というのが調べられています。

研究の方法

硬さの異なる5種類のラバーマットが用意されました。このマットは、硬さこそ異なるものの大きさや高さ、素材に関しては全て同一のものが使用されています。

ちなみに、各ラバーマットの硬度は、5mm厚のマットが2425N、10mm厚のマットが1875N、15mm厚のマットが1500N、20mm厚のマットが1125N、25mm厚のマットが750mNとなっています。

被験者は、目隠しをした状態で硬さの異なるラバーマットをランダムで踏んでいき、5種類のうちどの硬さのラバーマットを踏んでいるのかを当てるという課題を行いました。

・20~27歳の健康な男性30名
・結果に影響を及ぼす可能性のある慢性疾患(整形外科、神経科、精神科)を有する被験者は除外

結果

結果ですが、課題を開始した最初の方こそ被験者は硬さを正確に当てることはできませんでしたが、繰り返し行っていくことで徐々に正答率が上がっていきました。

そして、エラーが減少した2週間後何が起きたか。

というと、課題を開始した時に比べて立位バランス能力が向上していたのです。

リハビリテーションのための脳・神経科学入門より引用

この図は、初日よりも10日後の方がエラーの回数が少なくなっていることを表しています。

脳卒中後いろんな物を踏んで当てる訓練は有効かも

今回の研究によって、足の裏の感覚機能を高めることでバランス能力が向上することが明らかになりました。

※もちろん、脳卒中後の病態によって全ての方に当てはまるわけではありませんが。

この結果を日々のリハビリテーション場面や日常生活に応用すると何ができるか。

というと、例えば家の中にある物を踏みそれが何かを当てるというリハビリは非常に有効かもしれません。

理想は立っている状態で行うのが好ましいですが、まだまだ転倒のリスクが高い場合は座った状態で行っても良いかと思います。

加えて、もしこのリハビリを行うときのポイントとしては、必ず『閉眼』もしくは『足元を見ないこと』です。

理由としては、このリハビリの肝は「足の裏の感覚機能を高めること」だからです。

仮に、足元を見ながらこのリハビリを行ってしまうと目(視覚)でこれが代償できてしまうので効果を最大化することができません。

そのため、できる限りこのリハビリを行う際は目を瞑り、純粋に足の裏に意識を集中しながら行ってみると良いかもしれません。

以上が、バランス能力を向上させるためのリハビリテーション戦略でした。

この記事が、皆さんにとって明日のリハビリの一助になれば幸いです。

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