【上肢のリハビリ】麻痺側だけではなく、良い方の手も一緒に使うと効果的!

脳卒中後の手のリハビリってどうやって進めていけば良いんだろう…?

麻痺側の腕や手に効果的なリハビリって何があるんだろう…?

この記事では、これらの疑問に対して海外で得た知見をもとに一つリハビリの方法をご提案します。

麻痺側の腕や手のリハビリに効果的な方法

手のリハビリは『片手』ではなく『両手』で

リハビリテーションを進めていく際に、よく麻痺側の手だけを使ってリハビリを行うことがありますが、実は2000年に行われたある研究において、麻痺側(片手)だけでリハビリを行うよりも麻痺側プラス非麻痺側両方を一緒に使ったリハビリの方が損傷側の脳が活性化するというのが明らかになりました。(Staines.2000)

また、これと同様に脳卒中後遺症患者様を対象とした別の研究で、両手を使った方が麻痺側の手だけを使った場合よりも、手の動きが速くなったということが報告されています。(Utley&Sugden.1998)

この理由は、両手を一緒に使ったリハビリを行うと、損傷部位を含めた左右の脳が相互に活性化することによって麻痺側の腕や手の活動が高まるからであると考えられています。(magdalena.2004)

このように、麻痺側の腕や手に対するリハビリは麻痺側だけでもその改善効果が実証されている(CI療法など)一方で、両手を使用したトレーニングというのも麻痺側の腕や手の回復に大きく寄与しています。

発症からかなり経過しているけど良くなるの?

これまで、麻痺側の腕や手の回復は6ヶ月をピークにそれ以降はあまり効果が出ないと言われてきました。

しかし、最近の研究ではそれが覆っている結果が沢山出てきており、先ほど紹介した両手を使用したリハビリは慢性期(6ヶ月以降)においても、その成果が確認されています。(Lee.2017)

両手のリハビリって実際にどんなことをするの?

気になる両手で行うリハビリの内容ですが、結論から言いますと…

特殊で専門的な運動を行う必要はありません!

日頃、生活の中で両手を必要とするような動きを繰り返し繰り返し行っていくだけで良いとされています。(Lee.2017)

例)パソコンのタイピング、洗濯物を干す&たたむ、テレビゲームなど

最初はうまく行えないかもしれませんが、両手を使おうとすること自体で左右の脳は活性化するため、まずは「やろう」とすることに大きな意味があります。

最後に

日常生活を送る中では、つい麻痺がない方の腕や手を沢山使ってしまうことがあるのではないかと思います。

確かに、全ての行為を麻痺側も参加させて…となると心労が強くなることが予想されます。

そこで、そんな皆様に行っていただきたいこと。それは、まずは時間や回数を決めることです。

1日に中でトレーニングも兼ね、麻痺側を含めた両手を使った運動を「まずは10分間やってみる」ということからスタートしてみてください。

これを毎日繰り返すだけでも長い目で見ればきっと大きな変化になっていると思います。

少しでも麻痺を患う皆様のお身体が改善に向かうことを祈っております。

なお、脳と脊髄リハビリ研究センター福岡では、腕や手に強い麻痺を患った方に対しても、その改善を目指したリハビリサービスをご提供しております。

ご興味ある方は、無料体験プログラムもご用意してありますのでお気軽にお問い合わせください。

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参考文献

・Bilateral movement enhances ipsilesional cortical activity in acute stroke: A pilot functional MRI study. Staines 2000

・Interlimb coupling in children with hemiplegic cerebral palsy during reaching and grasping at speed. Utley&Sugden 1998

・Brain lateralization of motor imagery: motor planning asymmetry as a cause of movement lateralization. magdalena 2004

・Effectiveness of Bilateral Arm Training for Improving Extremity Function and Activities of Daily Living Performance in Hemiplegic Patients.Lee 2017

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