【脳卒中リハビリ】歩行能力を高めたい時の適切なトレーニング量と期間を解説!

この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が日々脳卒中(脳梗塞・脳出血)のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、当事者の皆様に向けて発信するエビデンス情報です。

ぜひ、明日からの臨床にお役立てください。

今回は、「脳卒中後、歩行改善のための負荷量はどのくらいが適切で、かつ期間はどのくらい設ける必要があるのか?」というテーマでお送りしていきたいと思います。

【脳卒中リハビリ】歩行能力を高めたい時の適切なトレーニング量と期間を解説!

本日ご紹介する論文

Effects of low-intensity endurance and resistance training on mobility in chronic stroke survivors: a pilot randomized controlled study.Lamberti N,2016

研究の目的

脳卒中後の患者様における歩行能力の改善について、①徐々に負荷量をあげる運動(持久力トレーニング)②初めから高い負荷の運動(レジスタンストレーニング)はどちらが効果的なのかを検証すること。

またこれらトレーニングが、脳卒中発症から経過が長い方にも効果的なのかを検証する。

対象者

組み入れ基準

  • 年齢:20〜80歳の51名
  • 発症から180日以上経過している虚血性または出血性脳卒中
  • 平地歩行が10m以上可能
  • Functional Ambulation Categoryスコア3以上

除外基準

  • 腹部大動脈瘤
  • 不安定な慢性疾患
  • 慢性心疾患(NYHAクラスIII以上)
  • 切断
  • 歩行やトレッドミル試験を禁忌または制限のある方
  • 重度の平衡障害、精神疾患、認知機能障害のある方
  • 過去6ヶ月以内に下肢のボツリヌス治療を受けている方
  • 過去6ヶ月以内に身体トレーニングや リハビリを実施している方

介入方法

被験者は51名のうち、35名が低強度(Li-e)と高強度(Hi-c)の2群に無作為に分けられた。

低強度(Li-e):18名

高強度(Hi-c):17名

各被験者は、週3回、60分のトレーニングを計8週間実施した。

両グループとも、8週間のプログラムは歩行トレーニングに基づく持久力フェーズ(1~4週目) と、主に筋力トレーニングに焦点を当てた混合フェーズ(5~8週目)に分けられた。

各セッションにはウォームアップとクールダウンの時間が設けられている

トレーナーは、脳卒中患者様が痙縮によって抵抗運動等を行う際に十分な可動域を確保できない場合に、半受動的な補助を行うように指示されている。

低強度実験群

12回のトレーニングセッションは、2回10分間の間欠歩行 (歩行1分、座位休息1分)と、合計10分間の下肢筋の受動的なビライゼーションおよびストレッチ運動で構成された。

高強度実験群

Karvonenの公式に従って算出した心拍予備能(hrr)の60~70%で30~35 分間のトレッドミルウォーキングを行った。

各セッションは患者のhrrの40%で5分間開始し、その後目標範囲に進み、少なくとも20分間実施された。

時間モニター(polar rs800cX、polar Electro finland)を使用して継続的に行われた。

これらと合計10分間の下肢筋の受動的モビライゼーションとストレッチングで構成された。

アウトカム

  • 6分間歩行テスト
  • Short-Form-36 Questionnaire
  • 10m歩行テスト
  • BBS
  • 5回座位立位座位テスト(5sts)

結果

結論としては、6分間歩行テスト、BBS、5stsにおいて有意差は見られなかったが、両群ともに向上が見られた。

ここでは、6分間歩行テストの結果のみ表記する。

6分間歩行テスト

※このテストは6分間でどのくらいの距離(何m)歩けるか。

 0週4週後8週後
Li-e群230m270m301m
Hi-c群258m274m292m

臨床的解釈

以上の結果から結論として、低負荷・高負荷のどちらでも歩行能力の改善は見込めるといえます。

つまり、リハビリを何もしないよりかは何かしら継続的に運動を実施すれば歩行能力は伸びるということです。

そしてその期間はどれくらいなのか?

というと、この研究を参考にすると、最低8週以上は必要だと考えます。

なお今回の研究でトレッドミルも使用されており、脳卒中のリハビリテーションには効果的とされています。

よって、今後脳卒中後のリハビリテーションを行っていく際には、負荷量や期間といった部分を考慮した上で行えるとより効果的かと思います。

参考までにご検討いただけると幸いです。

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参考文献

Effects of low-intensity endurance and resistance training on mobility in chronic stroke survivors: a pilot randomized controlled study.Lamberti N,2016

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