振動刺激を当てる際の適切な部位〜痙縮に対して〜

この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が、現在様々な神経疾患により麻痺を患い、本気で改善したいと思っている皆様へ、今後のリハビリのヒントとなる情報をお伝えします。

脳卒中後、後遺症の一つで最も多い症状。

それは、『痙縮』です。

痙縮とは、麻痺している手足の筋肉が意思に反して勝手に収縮してしまう現象であり、これによって手足の動きが硬く動かしにくくなってしまったり、非効率的な動かし方によって痛みが生じることもあります。

だからこそ、痙縮の緩和というのは脳卒中後一つのテーマともいえ、昨今世界中で痙縮に効果がある治療法が日々研究されています。

その中でも近年、痙縮の治療法として注目を浴びているのが『振動刺激』です。

以前、当センターのコラムでも痙縮に対する振動刺激の効果ついては解説したことがあるので、もしよければこちらの記事もご覧ください。

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以前は、振動刺激の周波数や頻度についてを主に解説していきましたので今回は…

「振動刺激を当てるならどこの筋肉が適切なのか?」という疑問についてお答えしたいと思います。

振動刺激を当てる際の適切な部位〜痙縮に対して〜

【結論】振動刺激は拮抗筋に当てるべし!

早速結論から言いますと痙縮を緩和する際、振動刺激で狙う筋肉は『拮抗筋』がおすすめです。

関節運動を行う際、筋肉の呼び方には大きく2種類あってそれが…

①主動作筋
②拮抗筋

この二つです。

主動作筋とは

主動作筋とは、関節運動の際に主となる筋肉のことであり、例えば「肘を曲げる」運動時の主動作筋は『上腕二頭筋』になります。

つまり、上腕二頭筋(力こぶになる筋肉)が収縮することで肘が曲がるという運動が生じるわけです。

拮抗筋とは

拮抗筋とは、主動作筋とは反対に円滑な関節運動を妨げないようにするための筋肉です。

上記の例と同じように『肘を曲げる』という運動で例えると、この場合拮抗筋は『上腕三頭筋』になります。

『痙縮』は上腕二頭筋に生じることが多い

通常、脳卒中後腕に生じる痙縮は『上腕二頭筋』を中心とした部分に多いです。

上腕二頭筋の作用は、肘を曲げることなので同筋に痙縮が生じることによって脳卒中後、多くの方は肘が曲がっている状態を呈しやすくなります。

では、こういう場合に振動刺激はどこに当てるのがおすすめなのか?

これが、冒頭結論で述べた『拮抗筋』です。

つまり、肘関節に生じている痙縮であれば拮抗筋は『上腕三頭筋』になります。

足首の痙縮であれば脛の筋肉を

振動刺激で痙縮を緩和する場合には拮抗筋を狙う

この原理さえ理解しておけばその他の部位でも応用が可能です。

例えば、足首の痙縮が強くつま先がぎゅっと収縮している時、これはふくらはぎの筋肉(下腿三頭筋)が強く収縮しています。

よって、この痙縮を緩和しようと思ったら振動を当てる部位は拮抗筋は反対側の筋肉になることから、脛の筋肉(前脛骨筋)になります。

このように、振動刺激を当てる部位が拮抗筋であることさえ知っておけば、様々な部位の痙縮の緩和が可能になってきますので、ぜひ覚えておいてください。

振動刺激を当てる頻度や時間についてはこちら

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振動刺激の周波数が分からない時はこちらの記事で分かりやすく解説しています

きんたろーブログ

近年リハビリテーション領域において、『振動刺激療法』というのが大きな注目を浴びています。 理由としては、従来のリハビリテ…

まとめ

痙縮に対する振動刺激は、今後益々発展してくることが予想されるので、今後の研究が発表され次第またこちらで最新知見として解説していこうと思います。

今回の内容が、脳卒中や脊髄損傷後の後遺症で悩む全ての皆様の明日の希望になれば幸いです。

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