【自宅でできる!】痙縮を抑える方法

この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が、現在様々な神経疾患により麻痺を患い、本気で改善したいと思っている皆様へ、今後のリハビリのヒントとなる情報をお伝えします。

※ただし、本記事に関しては当事者の皆様というよりは療法士の皆様向けに執筆しております。
当事者の皆様に対しては、Instagramの方で簡潔にまとめておりますので、ご興味ある方はそちらをご覧いただけると幸いです。

【自宅でできる!】痙縮を抑える方法

参考にした知見

近年、脳卒中(脳梗塞&脳出血)や脊髄損傷後に生じやすい痙縮に対する治療方法として『振動刺激』に注目が集まってきています。

そこで本日は、特に上肢(肘関節)の痙縮に対する振動刺激の『効果』と、用いる際の『Hz数』や『頻度』その辺りの疑問にお答えしていきたいと思います。

今回、参考にしたのは2019年に発表されたシステマティックレビューで、これはそれまで痙縮に対して行った振動刺激に関する論文全390本のうち、より質の高い研究論文のみ(全8本)を集め考察した論文です。

いまが2021年なので、おそらく痙縮に対する局所的な振動刺激の治療効果のレビューを行っている論文はこれが最新だと思いますので、現在脳卒中リハビリに関わっている療法士の皆様は是非参考にされてみてください。

論文抽出の流れ

①痙縮に対する振動刺激に関連した論文は合計390件の引用があった。

②このうち重複するものを除去した結果、170件の引用をレビューした。

③しかし、この中の136件の論文は抄録を見る限り痙縮に対する振動刺激という基準に合致しないため除外した。

④残った34件のうち、26件の研究が以下の理由で除外された。
1) 他の形態の振動を使用していた
2) 上肢の評価を行っていなかった

最終的に合計8件の研究が、今回のレビューの対象として認められた。

内容一覧

結果

8件の研究論文をレビューした結果…

脳卒中後、『上肢に痙縮を患っている患者様に対する振動刺激には効果がある』という結論が出されました。(特に肘)

これを踏まえた上で、以下ではここに取り上げられた8件の研究で行われた振動刺激の条件についてを解説します。

周波数

300Hz:1件
120Hz:2件
100Hz:3件
91Hz:1件
30Hz:1件

この結果だけ見ると、Hz数に関しては、そこまで強く意識する必要はなさそうな印象です。

ただ、100Hz前後にやや集中していることからこの辺りが最適解かもしれません。

購入する際は、パッケージに書かれてある周波数を必ず確認しましょう。

照射時間

30分:6件(ただし1つの筋に10分間✖︎3筋)
5分:2件

振動刺激を当てる時間ですが、“一つの筋肉で”10分というのが最も多いです。

しかし、中には5分間の振動刺激で効果が得られているものもありますので、そこを勘案すると照射時間は『5分〜10分』というのが最適かもしれません。

頻度

週5回:3件
週3回:3件
週2回:1件
不明 :1件

振動刺激を用いたリハビリを実施する期間と回数ですが、研究結果を見る限り週3回〜5回というのが最も好ましいかもしれません。

よって毎日リハビリを行うことができない外来リハビリよりも、回復期リハビリテーション病院などのように365日制度が敷かれている医療機関の方がやりやすいと思われます。

ターゲットとした筋肉

上腕三頭筋:8件(全て)
尺側手根屈筋:5件
長橈側手根伸筋&屈筋:1件
小胸筋:2件

8本の研究全てで、上腕二頭筋の痙縮が著しい場合には上腕三頭筋に対して振動刺激を行っています。

よって、痙縮によって肘関節の屈曲パターンが強い場合は、上腕三頭筋に対して振動刺激を行い痙縮の緩和を図ることが有効かもしれません。

まとめると

振動刺激を用いた痙縮の抑制方法をまとめると、このような感じになるかと思います。

今後、脳卒中や脊髄損傷等によって痙縮を患う患者様に出会った際には、ぜひご活用されてみてください。

 

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