この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が、現在様々な神経疾患により麻痺を患い、本気で改善したいと思っている皆様へ、今後のリハビリのヒントとなる情報をお伝えします。
脳卒中を患った方の中には、「思い通りにはいかないけど、ある程度手足を動かすことはできます。」という方もいれば、一方で「全く動きません…」という方もいらっしゃるかと思います。
そして、こういう状況の場合困るのは…
「どのようなリハビリをしたら良いか分からない」ということではないでしょうか?
というのも、わずかにでも麻痺した手足に動きが生じているのであれば反復して運動を行うことによってそれがリハビリとなりますが、一方で、麻痺した手足に全く動きがないという場合には、“動かすことができない”ので何をすれば良いか分からいと感じる方は多いのではないかと思います。
そこで本記事では、そのようなお悩みを持たれている方に向けて…
これについて、ご紹介したいと思います。
脳と脊髄リハビリ研究センター福岡のInstagramより引用
麻痺している手足が動かない時のリハビリ方法
先ほども述べたように、麻痺している手足が動かない時というのはリハビリをしようにも動かすことができないので、中々上手くいかないと感じるケースがとても多いかと思います。
今回は、その際にオススメのリハビリ方法をお伝えするのですが、本題に入る前に一点だけ。
まず、「脳卒中後のリハビリは何が大切なのか?」という部分について、方法を解説する前におさらいをしておきたいと思います。
なぜならば、この知識というのが本日お伝えする方法のキーポイントになるからです。
脳と脊髄リハビリ研究センター福岡のInstagramより引用
脳卒中は筋肉や関節が問題なのか?
さて、脳卒中を患うと障害を受けるのはどこでしょうか?
一般的な症状として、多くの場合半身の麻痺が残ってしまうことから、多くの方が『筋肉』や『関節』が障害を受けたと感じるかもしれません。
厳密にいうとこれも正解なのですが、根本的な問題を辿ると少し違います。
なぜならば、脳卒中後によって生じる筋肉の強ばり(痙縮)や関節の硬さは、全て起点となるのは脳が損傷したことによるものだからです。
だからこそ、脳卒中後のリハビリテーションにおいて重要なのは、いかに損傷側の脳を再活性化させるかということです。
脳と脊髄リハビリ研究センター福岡のInstagramより引用
どのようにして損傷側の脳を活性化させるか
それでは、本題です。
脳卒中後、麻痺側の手足が動かない場合に行って頂きたいリハビリ、それは『運動イメージトレーニング』です。
運動イメージトレーニングとは
運動イメージトレーニングとは、その名の通り「実際の運動を伴わずに頭の中で運動をイメージする」トレーニングのことです。
脳と脊髄リハビリ研究センター福岡のInstagramより引用
実は近年、この運動イメージを用いたリハビリテーションの有効性が世界中で報告されてきており、特に脳卒中に対するリハビリにおいてそれは顕著となっています。
その理由は、運動イメージを行っている最中の脳内の活動に答えがあります。
運動イメージを行っている際に活動する脳領域は運動実行中と等しい
以下の研究において、運動イメージを行っている最中の脳内の活動を測定してみたところ、なんと運動実行中とほぼ同じ領域が活動していることが明らかになりました。
Although there is ample evidence that motor imagery activate…
先ほど、脳卒中のリハビリテーションで大切なのは「いかに損傷側の脳を再活性化させるか」と述べましたが、まさにこれなのです。
つまり、運動イメージを行うことによって実際の手足は動いていないものの損傷側の脳は活性化していることから、運動のイメージトレーニングを行うだけでも十分リハビリとして成立しているのです。
脳と脊髄リハビリ研究センター福岡のInstagramより引用
だからこそ、いま現在自分自身の手足が全く動かずリハビリに悩んでいる方は、まずは「運動のイメージトレーニングから始めてみる」というのが大切かと思います。
運動イメージトレーニングを行う際のポイント
運動イメージトレーニングを行う際は一つだけポイントがあります。
それは、運動イメージを行う最中は「あたかも自分自身の手足が動いているかのようにイメージすること」です。
これはどういうことかというと、実は『運動イメージ』のやり方には大きく2種類あります。
一つが第三者の目線に立って運動をイメージすることで、もう一つはまるで自分自身の手足が動いているかのようにイメージすることです。
ちなみに前者を『視覚的イメージ』、後者を『筋感覚的イメージ』と言ったりします。
この2つのうち、取り入れて頂きたいのは後者の『筋感覚的イメージ』の方です。
その理由は、筋感覚的イメージであれば実際に運動を行っている最中と同じようなの脳活動が生じるからです。
逆に言えば、視覚的イメージでは運動実行中と同じような脳の活動は起こりません。
よって、運動イメージトレーニングを行う際には、自分を外から観察するように運動をイメージするのではなく、あたかも自分自身の手足がまるで動いているような、そのようなイメージを行うよう心がけてみてください。
麻痺の克服を願い日々リハビリを頑張っている皆様にとって、この投稿が少しでもヒントになれば幸いです。
参考文献
・Brain activity during visual versus kinesthetic imagery: an fMRI study.Guillot A,2009