【2023年最新】リハビリで行う屋外歩行訓練は◯◯に効果的!

この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が日々脳卒中(脳梗塞・脳出血)のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、当事者の皆様に向けて発信するエビデンス情報です。

ぜひ、明日からの臨床にお役立てください。 この記事では、「屋外歩行訓練の効果」というテーマで解説していきたいと思います。

リハビリテーション病院に入院した経験がある方であれば、リハビリを行う際担当療法士と一緒に屋外歩行訓練を実施したことがあるのではないでしょうか?

もしくは、いまこの記事をご覧になってくださっているのが理学療法士や作業療法士、言語聴覚士といったセラピストの方であれば必ず一度や二度ならず実施した経験があるかと思います。

それを踏まえた上でセラピストの皆さんに一つご質問です。

屋外歩行訓練は何を目的に行っていますか?

いかがでしょうか?

もし、この質問に対して明確に目的を持ちお答えできるのだとしたらそれはとても素晴らしいと思います。

一方で、もし「なんとなく必要そうだからやっている」というように目的がふわっとしている方がいましたら、ぜひこの記事を最後までご覧ください。

2023年1月にパブリッシュされた最新情報を元に、屋外歩行訓練で得られる利点について解説して参ります。

【2023年最新】リハビリで行う屋外歩行訓練は◯◯に効果的!

まずは結論から

まずは結論からお伝えします。

屋外で行う運動は屋内で行う運動に比べて、認知能力(特に注意機能とワークングメモリ機能)が著しく向上しやすいという結果が以下の研究で明らかになりました。

Exercising is good for the brain but exercising outside is potentially better.Katherine Boere,2023

どんな研究なの?

①研究の目的

では、サクッとこの研究がどのような目的や方法で実施されたのかを紹介します。

目的としては、従来「運動そのものが認知機能の向上に良いよね」というのは多くの研究で明らかになっていました。

ところが、「屋内と屋外でこの改善率に差があるのか?」と言われると、まだそういった知見がなくこの点を明らかにする目的で本研究は実施されたようです。

②研究の方法

研究の方法ですが、海外の大学生(院生含む)32名がこの研究に参加しました。

参加者は、15分間の屋内および屋外の散歩を実施しこれを平均2日間隔、計1週間行いました。

参加者の歩行時間は14〜17分と幅がありましたが、平均すると15分でした。

また、参加者は散歩の間、誰とも話さず携帯電話を使用せず、音楽を聴かないようにお願いされていました。

③アウトカム

  1. モバイル脳波計(mEEG):認知能力の測定(生理学)
  2. 視覚的オッドボール課題:認知能力の測定(パフォーマンス)

結果

認知能力のアウトカムである『オッドボール課題』を実施したところ、屋内(inside)歩行より屋外(outside)歩行の方が反応時間(左)と正確性(右)が向上していることがわかります。 つまり、屋外歩行を実施した後の方が認知能力が向上したということです。

臨床への活かし方

この知見から得られる示唆。

それは、例えば脳卒中後の高次脳機能障害が強い方や、認知症を患っている方などのリハビリを行う際に、認知能力の向上を目的として屋外で実施するというのは一つ手段として有効になってくるということです。

そして、「どのくらい歩いたら良いんだろうか?」ということに関しては、最低でも15分は必要かもしれません。

“最低でも”とつけたのは、この研究の対象者が大学生だからです。

もし、担当してる患者様がご高齢であったりした場合は、この時間にブレが出てくると思われます。(長くなる可能性がある)

よって、その場合は屋外歩行実施前と後で認知課題を実施し反応時間や正確性を見ていくと良いです。

そうすることで、その方にあった屋外歩行のベスト時間等のが割り出せてくるかと思います。

このように、屋外歩行にもきちんとメリットがあり、今回の件以外でも屋外歩行で得られることというのはまだまだたくさんあります。

大切なのは、「そこに目的があるか否か」です。

ただの散歩で終わらないよう、療法士の皆さんはしっかりリハビリ内容の目的を言語化できる状態にできているととても良いかなと思います。

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参考文献

Exercising is good for the brain but exercising outside is potentially better.Katherine Boere,2023    

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