この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が、現在様々な神経疾患により麻痺を患い、本気で改善したいと思っている皆様へ、今後のリハビリのヒントとなる情報をお伝えします。
脳卒中後、麻痺を患った手足のリハビリというのは沢山行われている一方で、実はそれと同等ぐらいに大事なリハビリがあります。
それが、『バランストレーニング』です。
というのも、実は過去の研究にて…
脳卒中後遺症患者様の25%は退院後6ヶ月以内に転倒しているということが明らかになっており(Jalayondeja C, 2014)、加えて退院後1年以内に55.9%の患者様が2回以上転倒することが分かっています。(Ng MM, 2017)
『55.9%』というのは思った以上に大きな数字で、要は脳卒中発症から1年以内はかなりの確率で転倒するリスクを抱えているわけです。
転倒した際に特に大きな怪我(骨折など)がなければ問題ないのですが、脳卒中後は麻痺の後遺症により転倒時の受け身が取りにくいために、骨折などのリスクが通常よりどうしても高くなりがちです。
だからこそ、脳卒中後は立っている時のバランス能力をしっかりトレーニングしていくことがとても重要になります。
そこで、今回は…
転倒リスクを回避するために、脳卒中後に有効とされるバランストレーニングを一つご紹介していきたいと思います。
ぜひ、最後までご覧いただき日頃行っている自主トレの一つに加えて頂けたら嬉しいです。
それでは、はじめていきます。
脳卒中後のバランストレーニングにおすすめな方法
【意外!?】実は効果的なのは立ち上がり練習
バランストレーニングと聞くと、多くの方が不安定なバランスクッションの上に座ったり立ったりする運動や、片足立ちの運動を想像するかもしれません。
しかし、実は世界的にみて有効とされているバランストレーニングの一つは…
です。立ち上がり動作というのは、筋肉の使い方や素早い重心移動など、簡単に行っているようで案外高度な運動になるのです。
特に脳卒中後では多くの方が、非麻痺側に体重を乗せて立ち上がり動作を行うため、重心がどうしても偏ってしまいがちです。
今回紹介する立ち上がり練習は、普通に椅子に座って立ち座りを繰り返すだけでなく足の位置などにちょっとした工夫をすることで、重心の位置を正しくしたり、麻痺側にしっかり体重を乗せて立ち上がりが行えるようにするための練習になります。
【立ち上がり練習】実際の方法
※以下に紹介する立ち上がり練習は、こちらの論文を参考にしたものです。
①麻痺側の足は常に非麻痺側の後ろに置く
(非麻痺側の踵と土踏まずの間ぐらいに麻痺側のつま先がくるように)
②-1:非麻痺側の足を少し前に出す
(麻痺側のつま先に非麻痺側の踵がくるように)
②-2:非麻痺則の足をさらに前に出す
(麻痺側のつま先よりも手の指3つ分ほど非麻痺側の踵が前にくる)
②-3:非麻痺則の足をさらに前に出す
(麻痺側のつま先よりも掌1つ分ほど非麻痺側の踵が前にくる)
以上、このステップで立ち上がり練習を30分間続けてみましょう。
この時、ステップ1からステップ3になるにつれて麻痺側により体重を乗せて立つ必要が出てくるので、難易度としては上がっていきます。
日頃、非麻痺側の足に体重をかけている人にとっていきなりステップ3を行おうとすると辛いので、まずはステップ1をしっかりできるようになってから少しずつ段階を上げていきましょう。
参考文献
・Six-month prospective study of fall risk factors identification in patients post-stroke.Jalayondeja C,2014
・Factors Predicting Falls and Mobility Outcomes in Patients With Stroke Returning Home After Rehabilitation Who Are at Risk of Falling.Ng MM,2017
・Effects of modified sit-to-stand training on balance control in hemiplegic stroke patients: a randomized controlled trial.Liu M,2016