この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が日々脳卒中(脳梗塞・脳出血)のリハビリテーションに従事する医療従事者の方や、当事者の皆様に向けて発信するエビデンス情報です。 ぜひ、明日からの臨床にお役立てください。
トレッドミル歩行トレーニングは何に効くの?
本日ご紹介する論文
Higher-intensity treadmill walking during rehabilitation after stroke in feasible and not detrimental to walking pattern or quality: a pilot randomized trial.Kuys SS,2011
研究の目的
脳卒中後、トレッドミル歩行訓練の介入によって歩行パターンや歩行の質に悪影響があるか、あるいは歩行速度や歩行能力に利点があるかどうかを明らかにすることを目的とした。
対象者
初めて脳卒中を発症した患者様24名
Mini-Mental State Exam(MMSE)スコアが24点以上であった者
既に歩行速度が正常(41.2m/s)な人は参加者候補から除外された
リハビリテーションへの参加を制限するような心血管疾患がある場合、歩行に影響を与える他の神経疾患や筋骨格系疾患がある場合は参加候補者から除外した
介入方法
実験グループ(トレッドミル歩行訓練あり)
脳卒中後歩行が可能になった参加者を対象に、通常の理学療法に加えより強度の高いトレッドミル歩行訓練を行う実験グループと通常の理学療法のみを行う対照グループの2グループにランダムに振り分けられた。
測定は、ベースライン(0週目)、介入後(6週目)、3ヵ月後(18週目)に実施した。
実験グループは、週3回6週間、30分間(休憩を除く)、心拍予備能40~60%の強度、または心肺機能トレーニングに最低限必要なBorg Rating of Perceived Exertionが11~14の強度でトレッドミル上を歩行した。(目標心拍数はKarvonen法に基づき算出)
トレッドミル歩行訓練開始時に心拍予備能が40%に達しない参加者には、トレッドミルの速度を耐えられる範囲で速く設定しできるだけ早く進行させた。(心拍数は携帯型心拍計で記録した)
トレッドミル歩行中、参加者は手すりを持つように促され必要に応じて理学療法士が遊脚相のフットクリアランスを確保するために介助を行った。
なお、実験グループは通常の理学療法介入も受けており1日あたり約1時間、各参加者に特有の障害や活動制限を対象とした課題指向アプローチを用いた理学療法が行われた。
対照グループ(トレッドミル歩行訓練なし)
対照グループは、通常の理学療法による介入のみを受けた。
アウトカム
①10m歩行テスト
②100mm垂直視覚アナログスケール(脳卒中患者に用いるために開発・検証した評価方法)
③6分間歩行試験
④10m歩行試験
結果
介入開始から6週目までに、実験グループは対照グループよりも歩行距離が6分間で62m伸びた。
また、同じく実験グループは対照グループよりも快適な歩行速度が0.18m/s、早歩きでの歩行速度が0.18m/s向上した。
最終的に18週目までに、実験グループは対照グループより0.26 m/s速く歩けるようになった。
臨床的解釈
以上の報告から、脳卒中(脳梗塞・脳出血)後においてトレッドミル歩行トレーニングを行うと、歩行速度や歩行距離が著しく伸びる可能性が高いということがわかりました。
つまり、今後歩行速度や歩行距離をより伸ばしていきたいという方にとってトレッドミル歩行トレーニングは非常に有効であると考えられます。
ぜひ、この機会にトレッドミル歩行トレーニングを検討されてみてください。
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参考文献
Higher-intensity treadmill walking during rehabilitation after stroke in feasible and not detrimental to walking pattern or quality: a pilot randomized trial.Kuys SS,2011