【痛みのリハビリ】Graded Motor Imagery療法の適応と進め方

この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が、現在様々な神経疾患により麻痺を患い、本気で改善したいと思っている皆様へ今後のリハビリのヒントとなる情報をお伝えします。

慢性疼痛のリハビリテーションを行っていく際に用いられる方法として『Graded Motor Imagery:GMI』と言われるものがあります。

この方法は、オーストラリアの理学療法士であるLorimer Moseley氏が開発したもので、近年国内でも取り入れられてきています。

そこで今回の記事では、このGMIが適応する基準や進め方についてを解説していきたいと思います。

現在、慢性的な腰痛や肩痛などにお悩みを持たれている方、もしくは痛みのリハビリテーションに従事されているセラピストの皆さんはぜひ最後までご覧ください。

【痛みのリハビリ】Graded Motor Imagery療法の適応と進め方

Graded Motor Imagery療法の適応

painscience.comが公式で発表しているGraded Motor Imagery療法の適応は以下のようになっています。

PainScienceCenter.com

Lorimer Moseley is the lead author of the textbook Graded Mo…

GMIの恩恵を受けることができるかどうかを確認するために、以下の質問にお答えください。

To see if you may benefit from GMI, please answer the following questions.

①あなたは、誰かが痛いと感じるような動きをしているのを見ると痛みを感じることがありますか?例えば、誰かが重いものを運んでいるのを見ると、腰が痛くなったりしませんか?

②自分が何かをしているところを想像すると普通は痛みを感じるものですが、あなたはどうですか?

③ある活動をしようと思ったときに、痛みを感じることがありますか?

④右側の身体と左側の身体の区別がつきにくいのですか?

⑤あなたに生じている痛みは、今の日常生活の活動量に対して釣り合っていますか?(過剰ではない?)

もし、上記の質問に「はい」と答えた方は、GMIを試してみる価値があるかもしれません。

ということなようです。

Graded Motor Imagery療法の3ステップ

GMIには3つのステップがあります。明確なルールはなく、お客様の反応によって、どのステップに進んでもいいし、後退してもいいのです。

There are three steps involved with GMI. There are no rules written in stone and you can go forward and backwards to any step depending on your response.

ステップ1:左右の判別
ステップ2:明示的な運動イメージ
ステップ3:ミラーセラピー

ステップ1 左右の判別

左右の判別というのは、例えば雑誌を見たときなどにそこに載っているモデルさんの手が右手なのか左手なのかを頭の中で判別できるか?ということです。

これはメンテルローテーション課題といって、視覚情報で捉えたものを脳内で変換する能力が求められることから運動イメージの訓練にもなるのです。

事実、慢性疼痛を抱える患者様の多くは痛みがある部位の運動イメージが苦手な人が非常に多いということがあります。

そのため、まずはこの課題が行えるかどうかを試してみると良いかと思います。

やり方としては、人がたくさん載っている雑誌などをみるのも良いですし、もしくはこれ専用のアプリケーションもあるので使ってみると良いかもしれません。

App Store

‎Using Recognise™ has been shown to reduce pain, improve per…

以下の動画は実際に本アプリを使ってメンタルローテーション課題を行っている風景になります。

脳の中にある左右の識別機能の自動的で潜在的な部分を刺激するために、これはできるだけ速く行うことを忘れないでください。もし、この活動をゆっくりと行いどちらが右か左なのか考える時間を与えてしまうと、脳の自動的な部分ではなく、認知(思考)部分を使うことになるので、このエクササイズは役に立ちません。右か左かを見分けるのに1.8~2秒以内を目標にすると良いです。

painscience.comより引用

右か左か迷った人、正解に時間がかかった人、不正解になった人はこの練習を続けてみてください。また、最も難しかった視点に注目するのもよいでしょう。

painscience.comより引用

ステップ2:明示的な運動イメージ

左右の判別が素早く行えるようになったら次のステップに進みます。それが「自分が動いている、もしくは活動している姿をイメージすること。」です。

具体的には、まずは「この運動を行ったら痛くなりそうだな…」と思う運動(活動)をざっくり軽度・中等度・重度という三段階のカテゴリーに分けましょう。

例えば、腰痛をお持ちであれば以下のように分けてみたりできます。

軽度
・10分間立ち続ける
・食器を洗う
・靴を履く
・トイレに歩いて行くなど
中等度
・床から軽いものを拾う
・洗濯をする
・うつぶせになる
・食料品の買い物をする
重度
・重い荷物を運ぶ
・掃除機をかける
・ジャンプする
・走る
・家具を移動させる

痛みが出そうだと感じる運動を3つのカテゴリーに分けたら、まずは軽度のものから運動イメージの練習を行います。

痛みが軽度感じる程度の活動から始めてみましょう。目を閉じて、リストにある活動の1つを行っている自分を想像してください。痛みを感じ始めたら続けないでください。リストアップしたどの活動もイメージすることができますが、できるかぎり激しい痛みを伴わない活動から始めるとよいかもしれません。

Let’s start from the activities that increase pain to a minimal level. Close your eyes and imagine yourself doing one of the activities in your list. Do not continue if you begin to experience pain. You can visualize any of the activities that you listed, but it might be a good idea to begin with activities that are not associated with severe pain to minimize protective mechanisms.

仕事中にケガをした場合は自宅で仕事のイメージを膨らませてから、ゆっくりと仕事の環境にイメージを慣らしていくようにしましょう。競技場での怪我についても同様です。まずは自宅からスタートし、その後怪我をした場所に実際に行って、イメージの練習をしたときに違う反応があるかどうかを確認することもできます。

If you were injured at work, try visualizing work activities at home, then slowly grading your imagery into your work environment. You can do the same thing for injuries on the playing field. You can also physically go to the location of injury to  see if you have a different response to your imagery exercises.

ステップ3:ミラーセラピー

Graded Motor Imagery療法の最後のステップは『ミラーセラピー』です。

ミラーセラピー

この写真は脳卒中後遺症の方向けに作っているものなので、『麻痺側&非麻痺側』になっていますが、痛みを患っている方の場合は『痛みがある方側』を隠すようにすると良いです。

ミラーセラピーは慢性的な痛みを抱えている方に非常に有効であるという研究結果が多数上がっているので、まずはステップ1〜2をクリアできたらぜひ行ってみてください。

Graded Motor Imagery療法まとめ

いかがでしたでしょうか?

以上が、Graded Motor Imagery療法の適応と進め方になります。

ステップ1で使用する左右判別のアプリや、ステップ3にてミラーセラピー用の物品を必ず用意しなければいけないわけではありません。

自宅にある雑誌を使ってもいいし、もしお時間あるのであればいろんな方向で撮影した手の写真を印刷して、それを用いるのでも大丈夫です。

手の写真

ミラーセラピー用の鏡も、100均に売っている自立鏡を用いれば十分行えますので、ぜひそういったもので代用してみてください。

難渋する痛みでお悩みを持つ皆さんが少しでも楽になれるよう、これからもリハビリテーションに関わるコラムを発信して参ります。

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