運動イメージ訓練を行う時に“必ず”注意すべき2つのこと

この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が、現在様々な神経疾患により麻痺を患い、本気で改善したいと思っている皆様へ、今後のリハビリのヒントとなる情報をお伝えします。

本日も、日々リハビリテーションの仕事に従事する理学療法士・作業療法士の方向けの内容となっております。

今回のテーマは『運動イメージ』ですが、中でも抑えたいことは…

「臨床で運動イメージ訓練を行う際に注意したい2つのこと」です。

運動イメージは、脳卒中後のリハビリテーションにおいてその効果が実証されているからこそ利用頻度が増えていますが、一方で適切な用い方についてはあまり触れられていないので、その辺りをここで解決していきたいと思います。

ちなみに今回コラムを書くにあたって、参考にさせて頂いた論文はこちらです。

Corticospinal excitability during motor imagery is diminished by continuous repetition-induced fatigue.Nakashima,2021

運動イメージ訓練を行う時に“必ず”注意すべき2つのこと

運動イメージによって筋出力が低下する

これまで多くの研究によって、「運動をたくさん繰り返し行うことによって、皮質脊髄路の活動が低下しそれに伴って筋出力も減少する」というのは既に報告されています。

これと同様、実は実際の運動そのものだけではなく、『運動イメージ』のやり方によっては筋出力が低下することが本研究によって明らかになりました。

そこで、以下に「どのような運動イメージ訓練を行うと筋出力が低下するのか?」という点について解説します。

①大きな筋出力を伴う運動イメージを要求すること

本研究の課題で、500mlのペットボトルと1500mlのペットボトルをそれぞれ20回×5セット持ち上げ台に置くまでの運動イメージを行いました。

その後、イメージした運動を実際に行なってもらい、その時にペットボトルを把持した時のピンチ力を測定したところ、500mlの方ではピンチ力が減少しなかったのですが、1500mlの方ではピンチ力が減少、つまり筋出力の低下が生じました。

motor imagery

500ml課題(運動イメージ)の方は運動イメージpre(前)よりpost(後)の方がピンチ力が向上しているにも関わらず、1500ml課題(運動イメージ)ではむしろ運動イメージを行った後の方がピンチ力が低下している。

運動イメージをリハビリテーションで応用する場合、イメージする運動自体が大きな筋出力を必要とする場合、実際の運動時に筋力が発揮できない可能性があります。

②何度も運動イメージを行わせた場合

1500ml条件で20回×10セットの運動イメージを行ってもらった場合、先ほど同様筋出力の低下が生じました。

motor imagery result

実験①よりもセット数を10回増やすと、やはりピンチ力に低下が見られた。

加えて、もう一つこの研究で明らかになったこととして、9セット目と10セット目で皮質脊髄路の活動が有意に低下したことが分かりました。

縦軸が皮質脊髄路の活動状態を表しているのだが、セット数が増えるとともに徐々に皮質脊髄路の活動が低下しており、9&10セット目になると有意にその活動が低下することが分かった。

臨床において脳卒中患者様に運動イメージを求める際、運動イメージを行う頻度が多くなると皮質脊髄路の活動が減弱しその結果、筋出力の低下を招く可能性があるので注意が必要かもしれません。

なぜ、運動イメージを行いすぎると皮質脊髄路の活動が低下するの?

この理由として挙げられるのが『中枢性疲労』という現象です。

今回の研究で、運動イメージ訓練と並行して『集中力』と『気分の状態』をそれぞれ評価しているのですが、その結果を見ると…

運動イメージ訓練を沢山行っていくにつれて、徐々に集中力が低下し始めていることが分かりました。

中枢性疲労

縦軸が集中力を数値化した評価であるが、運動イメージ訓練のセット数が増えるほど徐々に『集中力』が低下していった。

運動イメージ訓練の注意点まとめ

運動イメージ課題を行う際に注意すべき2つのこと

①大きな筋出力が求められる運動イメージ

②過度に運動イメージを求める

この2つを意識しておかなければ、実際の運動時に筋出力の低下を招く可能性があります。

理由は、皮質脊髄路の活動が抑制されてしまうからでありなぜそうなるかというと、繰り返し行った運動イメージ訓練による集中力の低下を招き『中枢性疲労』といわれる現象が生じるからです。

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