脳卒中後の足底感覚を定量的に評価する方法

この投稿は、『〜脳卒中・脊髄損傷特化型自費リハビリ施設〜脳と脊髄リハビリ研究センター福岡』が、現在様々な神経疾患により麻痺を患い、本気で改善したいと思っている皆様へ、今後のリハビリのヒントとなる情報をお伝えします。

皆さん、こんにちは。

脳と脊髄リハビリ研究センター福岡です。

今回のコラムは、脳卒中や脊髄損傷の当事者様向けではなく、医療従事者(特に理学療法士や作業療法士)の方向けの内容となっております。

テーマは、『脳卒中後遺症患者様に対する足底感覚の状態を定量的に評価できる方法』についてです。

脳卒中後の足底感覚というのは、多くのセラピストの皆さんがリハビリプログラムを組み立てる際に考慮する部分だと思います。

しかし、これまで足底感覚は「どれくらい悪いのか?」といった部分で定量化することが非常に困難な部分があり、必要である一方こうした悩みも同時に抱えてしまう現状がありました。

そんな中一つ朗報があり、実は近年発表されたある論文の中で『足底感覚を定量化できる方法』が紹介されていました。

というわけで、今回はこちらの論文を参考に足底感覚を定量化するための方法について解説していきたいと思います。

脳卒中後の足底感覚を定量的に評価する方法

The Foot Roughness Discrimination Test (FoRDT)

みなさんはこれまで足底感覚の評価ってどんな感じで進めてきたでしょうか?

恐らく最も一般的なのは「10分のいくつー」とか「5分のいくつー」みたいな感じで行うものですが、一方で果たしてこの評価方法で本質的な病態を捉えることができるだろうか?というと少し疑問が残ります。

そんな中で、最近生まれたのが『The Foot Roughness Discrimination Test (FoRDT)』という評価方法です。

これは、2019年に発表された論文で脳卒中後3ヶ月以上経過し、自立歩行が可能(屋内で少なくとも10m)な方32人に対して行われた研究です。

『FoRDT』は立位状態で足底に設置されたプレートを踏み、その状態で様々な硬さや表面性状が異なる物質を弁別するというテストです。

回答は患者様自身が行うので、完全なる客観的な評価とまではいかないですが、ある程度客観性が担保された方法となっています。

そして、この評価自体『立位バランス能力』と非常に強い相関があるようなので、普及すればバランス能力の病態解釈を行う際重要なツールになるような気がします。

『FoRDT』の課題

一方で、実はこの『FoRDT』…

実際に論文を見ていただいたら分かると思いますが、図がざっくりし過ぎていて方法の詳細がよくわかりません笑

評価ツールの写真も載せられているわけではない上に、実際にやっているところの写真があるわけでもないのです。

そのため、実際の臨床でどんな風に進めていけばいいか分からないというのが正直なところです。

加えていうと…実は『FoRDT』に関する論文は今のところまだこれ一本のみしかありません。

そのため、他の知見でやり方を見ようにも、物理的にやっている論文が世の中に出回っていないので、それすらできない状態です。

ですが、足底感覚を定量的に評価するという方向性自体は非常に共感できるため、今後この評価を用いて行った臨床研究(論文)が出てくることを祈るばかりです。

もし、ご興味ある方はぜひ一度ご覧になってみてください。

参考文献

・Assessing Plantar Sensation in the Foot Using the Foot Roughness Discrimination Test (FoRDT): A Reliability and Validity Study in Stroke.Gorst T,2019

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